<ストーリー>
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このお芝居は、「年寄りの話でございますので 退屈なさらないかと・・・」で始まる。 老女鶴の、少女時代を語り聞かせる物語である。 十二代に亘りお金御用をつとめてきた 紀伊国屋ですが、江戸から明治へ時代が移る中 江戸幕府の瓦解によって、諸大名に貸した金が 戻らず、その日暮らしにも事欠く有様でした。 そして十一月を迎え、この年の瀬を凌ぐために とうとう娘の雛人形まで売らなければなりませ んでした。 娘のお鶴も家の窮状を思えば雛人形を売られる のは仕方がないと諦めました。 しかし、売られてゆく前にもう一度、雛たちの 顔を見ておきたい。 ・・・それが、お鶴の願いでした。 |
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しかしその願いは果たされる事無く日は 過ぎて、とうとう売り渡す前日になりま した。 お鶴は一日中お雛様の事ばかり考えてい ました。 「・・・明日になれば雛人形とは二度と 会えなくなる」 「いっそのこと火事になって、家も雛も みんな燃えてしまえばいい」 そのような思いを巡らしておりましたが いつの間にか眠りに落ちていたのでした。 真夜中、何かの気配に目を覚ましました。 「泥棒か?」・・・ ところがそこには我が目を疑う光景が! |
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